沈黙の雨
車の中で二人、
ただ雨の音を聞いていた。
こういう時は、
いつも雨が降っている。
長い沈黙。
お互いの顔も見ず
シートにもたれている二人。
どうして、いつもそうなるのか。
冷えゆく空気の中で、二人の心も冷めてゆくのだろうか。
些細なことから、少しずつ距離は遠のいて
どちらかが、口を開くのを待っている。
二人を引き裂く言葉なのか
やり直すためのあたたかい言葉なのか、
ただ待っている。
お互いに口が動くのを。
二人の心の中で
お互いに想っていることはひとつなのに。
この冷えてはりつめた空気と
静かすぎる夜に
何も言えなくなったまま
雨の音を聞いていた。